上級英語への道

上級者をめざす初老再就職サラリーマンが出会った表現、辞書に載っていない単語、文化的背景について書いていきます

"OK boomer"、および OK のつかない boomer

英誌「エコノミスト」の最近号に目を通していたら、China のページで OK, boomer というタイトルが目にとまり、ん?と思った。これは英語圏でベビーブーマーを若い世代が揶揄する時に使われる言葉だが、ここで目にするとは。中国での世代間ギャップを取り上げた記事だろうか。

しかしすぐ、タイトルの上に Pacific-rim security、また見出しに A rare ballistic-missile test unnerves China's neighbours とあるのが目に入り、中国の弾道ミサイル実験についての記事だとわかった。

しかしなぜ OK, boomer なのだろう。読み始めてすぐに謎が解けた。

- Secrecy is essential to the operation of submarines that bear nuclear missiles. The vessels, known as boomers, are designed to stay hidden at sea for long periods, poised to fire nuclear-armed ballistic missiles at potential foes. 
(The Economist, July 6, 2026)

www.economist.com

辞書で boomer を引いたら、確かに「弾道ミサイル搭載原子力潜水艦」 "a nuclear submarine with ballistic missiles" と載っている。boomer にそんな意味があったとは。知らなかった。

当然のことながら、どうして boomer がこの意味を持つようになったのかに興味がわく。

ミサイルからの連想、そして若いころアメリカンコミックスにちょっとはまったことがある私としては、擬音の boom が頭に浮かんだ。

「ドカーン」や「バーン」という爆発音や衝撃音を指し、BOOM! 、時には BOOOOOM! などとマンガ的な字にして書かれる。日本語ほど擬音語・擬態語が使われない感のある英語だが、こうした時にハデに表現したくなる心理は共通するのだろう。

ネットで調べると、私の想像も的外れではない可能性があるようで、弾道ミサイルが積む核爆弾の破壊力を boom(er) に結びつけたという説が見つかった。また、Ballistic Missile submarine のBとMから boomer としたという説もあった。

いずれにせよ、さほど古い使い方ではないのに由来は「諸説あります」状態らしく、ちょっと不思議ではある。

なおイギリス海軍では boomer ではなく bomber と呼ぶそうだ。

- The latter (=nuclear-armed submarines) – called ballistic submarines or bombers – are, at 180m long, almost twice the size of Triumph, have bigger crews and are, according to the men who have served on them, deadly boring. 
("Life on board a British nuclear submarine"
The Guardian, August 1, 2012)

冒頭に書いた "OK boomer" に戻ると、これはベビーブーム世代が上から目線的な態度を取った時に、若い世代が言い返す/受け流す際の言葉を指している。日本語だと「はいはい、わかりましたよ」という感じだろう。

年配者が「近ごろの若いモンは」と嘆息し(英語でも "Kids these days..." という)それに若い世代は「ウザイなあ」と反発する、というのは昔からのことだろうが、現代社会は、ベビーブーマーとかX・Y・Z世代というように色分けされているので、レッテルを貼った形で言い返しやすい、ということか。

この言葉は、ニュージーランドの議会で若手議員が演説中に年配の議員にやじられた際、"OK boomer." といなして先を続けたのが広く報じられて話題になった。

私も当時何かで知ったものの、スラングだと片づけて取り上げたりはせず、自分の感度の鈍さを恥じるが、今あらためて調べると2019年のことだった。

その場面は今でもネット動画で見ることができる。やじは聞き取り困難だが、ウェブの情報によれば "That's impossible."というもので、議事録にも載ったそうだ。

www.usatoday.com

自分の英語学習ノートを見返したら、The Economist の数年前の記事で使われていた実例をメモしていた。日本の「昭和レトロ」ブームについて取り上げたものだ。

- There is a downside to Japan’s nostalgic obsession. Young Japanese use the term “Showa” to denote outdated, yet irksomely persistent, views—similar to the way that young Americans use the phrase “OK Boomer” to express indignation at pampered and entitled baby-boomers. Outworn Showa attitudes include sexism, wage slavery and an adherence to seniority-based hierarchies.

(The Economist, June 22, 2023)

www.economist.com

Merriam-Webster.com の OK boomer の項を見ると、この表現は今や世代の枠をこえて広く使われるようになってきているという。

- While early uses of OK boomer did take the form of a younger person clapping back at an older person for expressing dated opinions, the phrase has evolved as a more general way, regardless of age or generation, to dismiss someone perceived to be uniformed or cringey in some way.
https://www.merriam-webster.com/slang/ok-boomer

なお今回触れた The Economist の最近号には、世代に関係する別の記事が載っていたのだが、それについては日をあらためて書いてみたい。

 

tempus-fugit.hatenadiary.com

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